企業における仕事と子育ての両立支援に関するアンケート

  • 調査期間
  • 2010/09
  • 調査対象
  • 従業員301人以上の全上場企業(人事部長) 2,100社(有効回収数109社)
  • 調査方法
  • 郵送配布・郵送回収

調査結果の概要

(株)第一生命経済研究所では上場企業を対象に、標記についてアンケート調査を実施しました。この程、その調査結果がまとまりましたので報告します。2005年から2010年にかけて多くの仕事と生活の両立支援策の実施率は高まっています。2010年調査において実施率が高いものは、「c.女性の育休取得率70%以上」79.8%、「d.短時間勤務制度」75.2%などです。2010年調査において尋ねた企業が今後優先的に実施する施策を見ると、「s.年次有給休暇の取得を促進させるための措置」42.2%、「r.ノー残業デーの導入等、所定外労働の削減措置」40.4%の割合が高くなっています。これまでは育休及び育休明けの女性社員の両立支援に重点が置かれていましたが、今後は幅広い社員にかかわる両立支援を実施する意向になっています。両立支援策を導入してもあまり使われないメニューがありますか?との企業に対する質問に対し、『あてはまる(「あてはまる」13.9%+「どちらかといえばあてはまる」50.9%)』と回答した割合は64.8%に上りました。女性正社員と女性非正社員の利用経験のある両立支援策を見ると、「r.ノー残業デーの導入等、所定外労働の削減措置」24.7%、「q.育休後復帰のための業務内容や業務体制の見直し」23.3%、「s.年次有給休暇の取得を促進させるための措置」22.7%などの利用が多いようです。企業が両立支援の効果が「あらわれた」と回答した割合で最も高いのは、『b.社員の退職率が低下した』36.4%です。これまで企業が実施してきた両立支援は、人材を定着させるという効果があったと言えます。残りの項目は、効果が「あらわれた」割合が低くなっています。特に、『e.会社の生産性が向上した』は3.7%、『f.製品・商品の売上が増加した』は0.9%に過ぎません。両立支援が売り上げや生産性に直結したと考えている企業は少なくなっています。

調査結果

両立支援策の実施率、今後優先して実施する支援策(企業調査)(単位:%)
分野両立支援策2010年調査
実施率
2010年調査
今後優先実施
育休a.育児休業法を上回る育休56.0(36.1)5.5
b.男性の育休の取得(取得者1名以上)48.6(8.0)29.4
c.女性の育休取得率70%以上79.8(32.4)5.5
育児d.短時間勤務制度75.2(26.6)11.0
短時間e.フレックスタイム制度34.9(17.0)2.8
f.始業・終業時刻を繰り上げまたは繰り下げる制度44.0(18.0)3.7
g.所定労働時間を制限する制度59.6(29.7)3.7
子育てh.法定を上回る子どもの看護休暇制度39.4(15.2)3.7
支援i.事業所内託児施設3.7(2.7)5.5
j.子育てサービスの費用に対する援助25.7(14.3)3.7
k.子育てを行う社員の社宅入居への配慮8.3(6.3)0.0
l.子育てを行う社員に対する子育て費用の貸付10.1(18.9)0.0
m.勤務地、担当業務の限定制度の導入21.1(16.1)7.3
産・育休の
情報提供と
支援
n.妊娠中や出産後の健康の確保・情報提供・相談58.7(33.0)14.7
o.育休や時間外労働・深夜業制限の周知・情報提供・相談71.6(43.8)14.7
p.産休後復帰のための業務内容や業務体制の見直し56.0(47.3)2.8
q.育休後復帰のための業務内容や業務体制の見直し59.6(50.0)8.3
働き方の
見直し
r.ノー残業デーの導入等、所定外労働の削減措置71.6(36.6)40.4
s.年次有給休暇の取得を促進させるための措置58.7(34.8)42.2
t.多様な働き方を拡大するための短時間勤務や隔日勤務等22.0(13.4)11.9
u.テレワークの導入3.7(1.8)9.2
V.職場優先意識や固定的な性別役割分業意識是正のための
 情報提供・研修
19.3(21.6)11.9
※d~gは3歳から小学校入学前の子をもつ社員が対象。今後優先する施策は3つまで選択。
( )内の数値は2005年調査実施率です。
両立支援の利用状況~「あまり使われないメニューがある」という質問項目への回答(2010年企業調査)(単位:%)
利用経験のある両立支援策(※個人調査)(単位:%)
区分両立支援策利用経験
育休a①.育児休業法の期間を上回る育休17.7
a②.育児休業法を上回る所得保障5.3
育児d.短時間勤務制度9.3
短時間e.フレックスタイム制度4.3
f.始業・終業時刻を繰り上げまたは繰り下げる制度6.3
g.所定労働時間を制限する制度4.0
子育てh.法定を上回る子どもの看護休暇制度5.3
支援i.事業所内託児施設0.7
j.子育てサービスの費用に対する援助0.7
k.子育てを行う社員の社宅入居への配慮0.3
l.子育てを行う社員に対する子育て費用の貸付0.7
m.勤務地、担当業務の限定制度の導入4.0
産・育休の
情報提供と支援
n.妊娠中や出産後の健康の確保・情報提供・相談12.0
o.育休や時間外労働・深夜業制限の周知・情報提供・相談12.7
p.産休後復帰のための業務内容や業務体制の見直し21.3
q.育休後復帰のための業務内容や業務体制の見直し23.3
働き方の見直しr.ノー残業デーの導入等、所定外労働の削減措置24.7
s.年次有給休暇の取得を促進させるための措置22.7
t.多様な働き方を拡大するための短時間勤務や隔日勤務等6.0
u.テレワークの導入3.3
V.職場優先意識や固定的な性別役割分業意識是正のための
 情報提供・研修
3.3
※個人調査は、2010年9月に(株)クロス・マーケティングに委託して、同社モニターである25歳から44歳の有配偶で0歳から6歳の子どもをもつ女性正社員150人及び女性非正社員150人に対して、インターネット調査を行ったものです。子ども数は平均1.7人、末子年齢は平均2.8歳です。
企業が認識した両立支援の効果(2010年企業調査)(単位:%)
http://group.dai-ichi-life.co.jp/dlri/ldi/news/news1106.pdf
調査実施先:(株)第一生命経済研究所