2008年度 新入社員の「売り手市場度」調査

  • 調査期間
  • 2008/03/25~2008/04/11
  • 調査対象
  • 実施先が開催した“新入社員研修セミナー”の参加企業(256社)の新入社員740人(男性456人、女性284人)
  • 調査方法
  • 自記式法

調査結果の概要

産業能率大学が実施した2008年度新入社員の「売り手市場度」調査によると、新卒採用枠拡大の中での就職活動について、「かなり大変だった」との回答は22.7%と、1992年度のバブル期(11.1%)の2倍に上り、一方、「かなり楽だった」5.8%との回答は2002年度の就職氷河期(8.7%)をさらに下回った。就職活動の結果にはおよそ9割以上の新入社員が満足している。売り手市場と言われる今年度、内定をもらう数は?「1社」だけというのは50.7%と約半数。「1社」だけだった場合は、バブル期(1992年度)では61.5%、就職氷河期(2002年度)でも63.2%といずれも6割を超えており、内定を『複数』もらう割合が空前の売り手市場だったバブル期より増えていた。就職先を一企業に絞った後、「本当にこの企業でよいのかと迷った」新入社員は47.2%。バブル期(1992年度)では56.0%あった。迷った場合には「親に相談した」42.1%が最多で、採用側の内定辞退防止策は本人に対するフォローだけでなく、「親」への接触が効果的なのかも。就職活動を進める上で、売り手市場の実感はどのようなものだったのか?「内定式」40.9%や「同期との懇親会」38.6%など、内定辞退防止のために内定前より内定後の方が、採用側が積極的に新入社員(この時点ではまだ学生)にコンタクトしている印象を受ける。『就職氷河期』と言われた時期を想像して、今と比較するとどのように思うか?を聞くと「今の方が楽」が58.6%と、就職活動は大変だけど氷河期の頃よりは環境が良かったと感じているようだ。また、自身の将来の昇進・昇格等に関しては、不安感はあまりなく、本人次第で解決できると考えているかのように「本人が努力すれば問題ない」58.0%という新入社員が多数であった。

調査結果

ご自身の就職活動を振り返って、どのように感じましたか? (単位:%)
就職活動の結果に満足していますか?(2008年度) (単位:%)
「満足している(「大変満足」+「やや満足」)の割合
全体:91.3%   男性:90.7%   女性:92.3%
何社から内定をもらいましたか? (単位:%)
複数の企業から内定をもらう事に対して、どう思いますか?との設問に「何も感じない」との回答は、バブル期(1992年度全体)で45.1%、今年度は46.2%と、大きな差は見られなかった。一方、「優越感がある」はバブル期の19.0%に対して今年度は25.2%に上昇。「罪悪感がある」はバブル期の35.9%に対し、今年度は28.6%と低下している。「罪悪感」が減り、「優越感」が増えている事は、“内定”に対する学生側の意識に変化があると考えられるが、今では自分自身で“勝ち取るもの”と認識しているのかもしれない。就職先を選ぶ際、先に複数の企業等から内定を得た上で、その中から吟味する、というふうに変化してきているようだ。
就職先を一企業に絞った後、本当にこの企業でよいのかと迷いが生じましたか? (単位:%)
迷いが生じた際の対応方法(上記設問で「はい」と回答した人) (単位:%)
就職活動を振り返って、“売り手市場”を実感するような、<内定後(内々定含む)>の採用側の熱心なフォローや囲い込みはありましたか?(2008年度全体) (単位:%)
<内定前(内々定含む)>では「訪問の際の交通費支給」33.5%や「製品やグッズ等のおみやげ」31.3%、「担当者からの頻繁な接触」19.6%などが目立つ。
“就職氷河期”と言われた時期と今とを比較してどのように思いますか? (単位:%)
数年前は、企業の採用枠が少なく、就職浪人が出るなど“就職氷河期”と言われる時期があった。
自身の将来の昇進・昇格等を考えるとどのように思いますか? (単位:%)
バブル期は、現在と同じように企業の採用枠が増え、“売り手市場”と言われた。その一方、入職者が多いため厳しさが足りないと指摘されたり、ポストがなく昇格できなかったりする事もある。
調査実施先:学校法人 産業能率大学