旺文社「第5回ことばに関するアンケート」集計結果

  • 調査期間
  • 2007/11/25~2007/12/10
  • 調査対象
  • 実施先が催した2007年度第2回「実用日本語 語彙力検定を受検した全国の小学生~高校生11,010人(男子5,878人、女子5,095人、NA37人)
  • 調査方法
  • 自記式法

調査結果の概要

(株)旺文社が全国の小・中学生、高校生を対象に行った、「ことばに関するアンケート」の結果によると、およそ半数(47.6%)の児童・生徒(以降、子供と称する)が「普段、自分が言いたい事を相手にきちんと伝えられている」と思っており、5年前の2002年調査結果(39.0%)と比べ、8.6ポイント(以降、Pと称する)増えている。2002年の結果では「普段、乱れていない、きれいな日本語を話していると思っている」8.7%が「~思っていない」49.4%より40.7Pも下回っていたが、今回は「~思っている」が11.4%、「~思っていない」が38.5%で、27.1Pの開きとなり、2002年と比べ13.6P縮まった。子供は、正しい(と思われる)日本語で、自分の言いたい事をきちんと相手に伝えようという意識が高まっていると考えられる。また、「言いたい事が相手にきちんと伝われば、きれいな日本語を話さなくてもよいと思わない」60.2%との回答が6割を超えており、『きれいな正しい日本語で話さなければ』という自覚の表れであろう。2002年は「~思わない」が42.7%で、今回はそれを17.5Pも上回っている。「日本語が乱れていない方が、言いたい事を相手にきちんと伝えられる」と思うとの回答は48.8%で、次に多いのは、「わからない」で30.3%。これは2002年の結果も同様で、「わからない」が2番目に多く33.1%だった。

調査結果

貴方は普段、自分が言いたい事を相手にきちんと伝えられていると思いますか? (単位:%)
貴方は普段、乱れていない、きれいな日本語を話していると思いますか? (単位:%)
貴方は、言いたい事が相手にきちんと伝われば、きれいな日本語を話さなくてもよいと思いますか? (単位:%)
貴方は日本語が乱れていない方が、言いたい事を相手にきちんと伝えられると思いますか? (単位:%)
次の文や語句について、貴方自信は使いますか?日本語として正しいですか?選んでください
<こんなにたくさんは食べれない> (単位:%)
 (単位:%)
「使う」が71.4%と7割を超えた。これは前回(調査=2002年)の66.5%を約5ポイント上回る結果となり、“ら抜きことば”がますます定着してきた事が読み取れる。
<朝5時に来れますか?> (単位:%)
 (単位:%)
<食べれない>は「使う」との回答率は71.4%に達したが、<来れます>は55.3%に留まる。一方で、<来れます>を「正しい」と回答した割合は66.3%で、<食べれない>の58.1%を上回っている。2002年との比較では、「使う」「正しい」ともに比率が若干低くなっているものの、“ら抜きことば”定着を否定するものではない。
<ドン引き>(2007年のみ) (単位:%)
 (単位:%)
<がっつり>(2007年のみ) (単位:%)
 (単位:%)
現在の一部の若者が使用している、いわゆる“若者ことば”と呼ばれるものから<ドン引き>を、ある方言が一般的に広く使われるようになったことばから<がっつり>を代表として各々取り上げた。<ドン引き>については、「まちがい」が80.5%であるにも関わらず、「使う」が43.5%という事から、まちがいとわかっていながら使っている子供が多い事がわかる。一方、<がっつり>については、「使う」が26.4%である事から、子供の間ではあまり使われていないようである。しかし、「使う」26.4%・「正しい」24.6%、「使わない70.4%・「まちがい」70.7%と比率がほぼ同じである事から、新しいことばについて、正しいかどうかということへの関心が少なからずある事が窺える。
調査実施先:(株)旺文社